兼務メンバーのいるチームのPM:稼働率50%のメンバーを最大活用する方法
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複数プロジェクトを掛け持ちする兼務メンバーを抱えたチームのPM実践法。稼働率の可視化から優先順位の合意、タスク割り当ての最適化まで解説。
日本のプロジェクトでは「このメンバーは他のプロジェクトと兼務です」という状況が珍しくない。週3日しか使えないエンジニア、別プロジェクトが繁忙期に入ると稼働が落ちる担当者——兼務メンバーの多いチームのPMは独特の難しさを抱えている。
兼務チームのPMが直面する問題
問題1:実際の稼働率が読めない 「50%稼働」と言っていても、他プロジェクトの緊急案件が入ると実質20%になることがある。
問題2:優先順位の競合 同じメンバーが2つのプロジェクトで「今週中に」を求められると、どちらかが犠牲になる。
問題3:文脈スイッチのコスト 2つのプロジェクトを切り替えながら作業する認知コストは、純粋な工数より高い。フォーカスが分散するほど品質が下がる。
稼働率の可視化:キャパシティプランニング
週次キャパシティシートの作成
チームメンバーの稼働率を週次で可視化するシートをNotionまたはGoogleスプレッドシートに作る。
| メンバー | 今週の稼働 | 来週の稼働 | 再来週の稼働 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 田中(兼務) | 50% | 30% | 50% | 来週は他PJ山場 |
| 山田(専任) | 100% | 80% | 100% | 来週は研修半日 |
このシートを毎週月曜に更新するルールをメンバーと合意する。「来週の稼働率を毎週金曜に更新してください」という習慣をつけるだけで、翌週の計画精度が大幅に上がる。
兼務メンバーへのタスク割り当ての原則
原則1:クリティカルパス上のタスクに兼務メンバーを置かない
プロジェクトの遅延に直結するクリティカルパス上のタスクに、稼働率が不安定な兼務メンバーを配置するのは危険だ。クリティカルパス上のタスクは専任または稼働率が安定しているメンバーに割り当てる。
原則2:「この週に集中して終わらせる」タスクを設計する
兼務メンバーに適したタスクは「1週間集中すれば完了できる独立したタスク」だ。2〜3週間にわたる依存関係の多いタスクは、文脈スイッチのコストが高くなる。
原則3:稼働率に応じたバッファを設ける
兼務メンバーの工数見積もりは、想定稼働率×0.7で計算する。「50%稼働なら35%分の仕事量で計画する」。バッファを持たせることで、稼働が落ちた週でも大きな遅延を防げる。
優先順位の衝突を防ぐ
兼務メンバーが複数のプロジェクトから「緊急」の依頼を受けた時の対処法を事前に決めておく。
推奨:マネージャー間での優先順位合意
兼務メンバーの直接の上長または各プロジェクトのPM間で、「どちらのプロジェクトが優先か」を事前に合意する。この合意がないと、メンバーが「どちらも断れない」という板挟みになる。
合意の記録例:
兼務メンバー:田中さん
プロジェクトA(主):60%稼働が優先
プロジェクトB(副):40%稼働
緊急時のルール:
- どちらの緊急案件が重なった場合はプロジェクトAを優先
- ただしBで本番障害が発生した場合はその日のみBを最優先
メンバー本人とのコミュニケーション
兼務メンバーにとって最もストレスなのは「複数の上司から同時に依頼が来る」状況だ。PMはこのストレスを理解した上で、以下を実践する。
週次1on1での確認(10分):
- 今週の実際の稼働はどうだったか
- 複数プロジェクトで優先度が衝突した場面があったか
- 来週の懸念事項は何か
「調整はPMがやる」という宣言: 「複数プロジェクトの優先度の調整は私が担当します。Aさんが直接判断しなくていいように、困ったらすぐ言ってください」と伝えることで、メンバーの心理的負担を下げる。
まとめ
兼務メンバーのいるチームのPMに最も必要なスキルは「稼働率の現実を正確に把握して、その中で最大のアウトカムを出すタスク設計をすること」だ。楽観的な稼働率で計画を立てると、後でスケジュールの大幅修正が必要になる。兼務の現実を受け入れた上でのプランニングが、炎上を防ぐ最も効果的な方法だ。