RACI Matrix活用法:人員不足チームで責任の所在を明確にする

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人員不足・兼務だらけのチームでRACIマトリクスを活用して責任の所在を明確にする方法。抜け漏れと重複の可視化で炎上を未然に防ぐ実践手順。

「誰がやるか決まっていない」「あの件、自分がやるものだと思っていなかった」「同じことを2人がやっていた」——これらはRACIマトリクスが整備されていないチームで起きる典型的な問題だ。特に人員不足・兼務が多いチームでは、責任の空白が炎上の原因になりやすい。

RACIマトリクスとは

RACIは4つの役割の頭文字だ。

  • R(Responsible): 実際に作業する人(担当者)
  • A(Accountable): 最終責任を持つ人。RACIで「A」は1人だけが原則
  • C(Consulted): 意見を聞く人(双方向コミュニケーション)
  • I(Informed): 結果を通知する人(一方向コミュニケーション)

マトリクス形式で「タスク × 人」のグリッドに各ロールを割り当てることで、誰が何をすべきかが一覧で把握できる。

人員不足チームでのRACIの特徴

3〜5人の少人数チームや兼務が多い組織では、1人が複数のRACIロールを担うことが多い。この場合に注意すべきポイントがある。

注意1:1人がRとAを兼任する場合 1人が実作業(R)と最終責任(A)を両方持つことは許容できる。しかし「全員A」になっているタスクは「誰も最終責任を持っていない」のと同じだ。Aは必ず1人に絞る。

注意2:Cが多すぎる 3人全員がCになっているタスクは、意思決定が遅くなる。CはRとAが意見を必要とする専門家や上位責任者だけに絞る。承認プロセスが軽い場合はCをなくしてIに格下げする。

注意3:Rがいないタスク マトリクスを作ると「誰もRになっていないタスク」が発見される。これが炎上の原因になる責任の空白だ。

RACI作成のステップ

Step 1:タスク一覧を作る

プロジェクトの主要タスクをリストアップする。WBSの第2〜3層のタスクが適切な粒度だ。細かすぎると管理コストが高くなるため、成果物単位・フェーズ単位が目安。

Step 2:関係者一覧を横軸に並べる

チームメンバー・PM・ステークホルダー・外部ベンダーを横軸に並べる。

Step 3:各セルにR/A/C/Iを割り当てる

各タスクに対して、全員で確認しながら割り当てる。割り当て時の問い:

  • 「このタスクを実際に作業するのは誰か?」(R)
  • 「このタスクが完了/失敗した場合、最終的に責任を取る人は誰か?」(A)
  • 「完成前に意見を聞く必要がある人は誰か?」(C)
  • 「結果だけ知っていれば良い人は誰か?」(I)

Step 4:RACIの健全性をチェックする

チェック項目問題
各タスクにRが少なくとも1人いるかRがいないタスクは誰も作業しない
各タスクにAが正確に1人いるか0人または複数は機能しない
Aが1人に集中しすぎていないかPM一人に全タスクのAが集まると過負荷
Cが多すぎないか3人以上のCは意思決定を遅くする

書籍紹介

プロジェクトのトラブル解決大全

著者: 木部智之 — 「再生工場」と呼ばれた著者による炎上プロジェクトの火消し術86を収録

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人員不足時の調整テクニック

PMのAを減らす: PMが全タスクのAになっているケースは危険だ。チームリードや担当エンジニアがAを持てるタスクを特定して委任することで、PMの負荷を分散させる。

Rの兼務を可視化する: 1人が複数タスクでRになっている場合、その人の総工数負荷が見えやすくなる。Rが10以上の人は過負荷のサインだ。

ベンダー・外部リソースにRを渡す: アウトソース可能なタスクのRを外部ベンダーに渡し、AだけをPMまたはチームメンバーが持つ形にすることで、内部の工数負荷を下げられる。

RACIのメンテナンス

RACIはプロジェクト開始時に作って終わりではない。

  • メンバーの変更時: 退職・参加があれば即更新
  • フェーズ移行時: 各フェーズの開始時にRACIを見直す
  • 炎上発生時: RACIの空白や重複が炎上の原因でないか確認する

まとめ

RACIマトリクスは「誰が何をするか」を一枚の表にまとめるだけのシンプルなツールだが、人員不足のプロジェクトで威力を発揮する。作業する中でRACIの空白が見えた時が介入のタイミング——PMの仕事は責任の空白を埋め続けることだ。

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